【理学療法士が教える】腰痛の原因は骨盤?体が硬い人のための安全な骨盤ヨガ2選

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ヨガ

こんにちは、理学療法士の鈴木です。長時間のデスクワーク、本当にお疲れ様です。そのつらい腰の痛み、なんとかしたいですよね。大丈夫、体が硬いことを気にする必要は全くありません。今日は『体操』や『トレーニング』ではなく、あなたの体が本来持っている、楽な状態を思い出すための、やさしい時間だと考えてください。

その腰痛、実は「骨盤の歪み」ではなく「骨盤の不安定さ」が原因かもしれません。そして、その解決に激しい運動は全く必要ありません。

この記事では、理学療法士である私が、あなたの不安な気持ちに寄り添い、体が硬くても絶対に無理なくできる「お守り」のような骨盤ヨガを2つだけ、厳選してご紹介します。読み終える頃には、腰痛への不安が”これならできる”という安心感に変わっているはずです。


[著者情報]

この記事を書いた人

鈴木 健二 (Suzuki Kenji)
理学療法士 / 全米ヨガアライアンス認定ヨガインストラクター

整形外科クリニックにて8年間勤務し、運動療法を用いて多くの腰痛患者のリハビリを担当。Web上の誤ったセルフケア情報で症状を悪化させる患者を目の当たりにし、医療知識に基づいた安全なヨガ指導の必要性を痛感。現在は、初心者を対象とした「医療としてのヨガ」スタジオを主宰。


その腰痛、「骨盤の歪み」が原因ではないかもしれません

「骨盤が歪んでいるかも」と聞くと、なんだか怖い感じがしますよね。クリニックでも「体が硬いから、骨盤が歪んでしまったのでしょうか?」というご質問をよく受けますが、体が硬いから骨盤が歪む、という訳ではないんですよ。

実は、長時間のデスクワークという習慣が、骨盤が後ろに倒れる『骨盤後傾』という状態を引き起こすことがよくあります。私たちの体は、家で例えるなら骨盤が「土台」で、背骨が「柱」です。土台である骨盤が後ろに傾くと(骨盤後傾)、柱である背骨の自然なS字カーブが崩れ、腰の部分に過剰な負担がかかり続けます。この負担の積み重ねが、慢性腰痛の大きな原因となるのです。

つまり、問題の本質は「骨盤の骨が変形している」という怖いものではなく、「骨盤が不安定で、楽な位置を保てなくなっている」という状態なのです。そして、この状態は、やさしい動きで改善していくことが十分に可能です。

目指すのは「矯正」ではなく「安定」。骨盤ヨガの本当の目的

では、どうすれば骨盤を楽な位置に保てるようになるのでしょうか。ここで目指すゴールは、無理やり骨を動かす「矯正」ではありません。本当の目的は、骨盤を内側から支えるインナーマッスルを目覚めさせ、骨盤を「安定」させることです。

慢性腰痛という課題の解決策は、このインナーマッスルを正しく使えるようになることにあります。インナーマッスルは、まるで「天然のコルセット」のように、お腹周りや骨盤の底から体を支え、腰への負担を軽減してくれる大切な筋肉です。

しかし、デスクワークなどで長時間動かないでいると、この天然のコルセットは”お休みモード”に入ってしまい、うまく働かなくなります。骨盤ヨガは、このお休みしているインナーマッスルに「起きてください」と優しく呼びかけ、再び働いてもらうためのスイッチを入れる作業なのです。

【写真で解説】理学療法士が厳選した、腰を守る「お守り」ポーズ2選

ここからは、ご自宅で、ベッドやお布団の上でもできる、極めて安全なポーズを2つだけご紹介します。大切なのは、お手本通りにやることではなく、ご自身の体の感覚を丁寧に味わうことです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「気持ちいい」と感じる範囲を決して超えないでください。痛みは、体からの「ストップ」のサインです。
なぜなら、腰痛に悩む方ほど、早く治したい一心で痛みを我慢してストレッチしてしまう失敗が非常に多いからです。私の理学療法士としての経験上、慢性的な痛みに対しては、強い刺激よりも、脳が「ここは安全だ」と感じるような優しい刺激を繰り返す方が、結果的に回復が早いのです。この知見が、あなたの安全なセルフケアの助けになれば幸いです。

1. キャットアンドカウ

背骨と骨盤を連動させて優しく動かす、基本中の基本のポーズです。このキャットアンドカウは、腹横筋などのインナーマッスルを安全に目覚めさせる効果が期待できます。

  • 【手順】:
    1. 四つん這いになります。手は肩の真下、膝は腰の真下に置きましょう。
    2. 息をゆっくり吐きながら、背中を丸めます。おへそを覗き込むようにして、骨盤を後ろに傾ける(後傾)意識を持ちます。
    3. 次に、息を吸いながら、ゆっくりと背中を反らせます。胸を開き、目線は少し斜め前に向けます。骨盤は前に傾ける(前傾)意識です。
    4. この動きを、呼吸に合わせて5〜10回、ゆっくりと繰り返します。
  • 【これだけは守ってほしい安全ルール】:
    • 腰を反らせすぎないこと: 特に息を吸う動きの際、腰に痛みや詰まりを感じる場合は、反らせる角度をごく浅くしてください。
    • 呼吸を止めないこと: 動きと呼吸を合わせることで、自律神経が整い、筋肉の緊張が和らぎます。
    • 首に力を入れないこと: 動きは常に背骨の中心から始まる意識を持ちましょう。
  • 【ビジュアル要素:良い例と悪い例】
    • 良い例の写真: 背骨全体が滑らかなカーブを描いている。
    • 悪い例の写真: 背中を反らせる動きで、腰だけが極端に折れ曲がっている。「腰に負担!」という注意書きを入れる。

2. ガス抜きのポーズ

股関節を優しく曲げることで、腰回りや硬くなりがちなお尻の筋肉を心地よく伸ばすポーズです。

  • 【手順】:
    1. 仰向けに寝て、両膝を立てます。
    2. 息を吐きながら、両膝を優しく胸の方へ抱えます。手は膝の上か、ももの裏で組みましょう。
    3. 肩の力は抜き、首を長く保ちます。
    4. この状態で、深く穏やかな呼吸を5回ほど繰り返します。
    5. もし余裕があれば、抱えた膝で小さな円を描くように、腰回りをマッサージするのも効果的です。
  • 【これだけは守ってほしい安全ルール】:
    • お尻が浮きすぎないこと: 膝を胸に近づけようとしすぎて、お尻や腰が大きく浮いてしまうと、腰に負担がかかる場合があります。腰は床につけたまま、心地よい範囲で行いましょう。
    • 顎が上がらないこと: 顎が上がると首に力が入ってしまいます。顎を軽く引いて、後頭部で床を感じるようにしましょう。
  • 【良い例と悪い例】
    • 良い例: 肩や首の力が抜け、リラックスした表情でポーズをとっている。
    • 悪い例: 膝を無理に引き寄せ、肩がすくみ、お尻が大きく浮いてしまっている。

初心者のための骨盤ヨガQ&A

Q. 毎日やるべきですか?

A. 毎日やらなければと気負う必要はありません。まずは週に3回程度、特にデスクワークで疲れた日の夜、寝る前に行うのがおすすめです。大切なのは義務感ではなく、「気持ちいいからやろう」と思えることです。

Q. ピラティスとの違いは?

A. 良い質問ですね。ピラティスも骨盤の安定に非常に効果的なエクササイズです。 ピラティスがより体幹の筋力強化に焦点を当てるのに対し、ヨガは呼吸と動きを連動させ、心身全体のバランスやリラクゼーションを重視する傾向があります。どちらが良いという訳ではなく、よりリラックスしたい気分の時はヨガ、少し体を鍛えたい気分の時はピラティス、と使い分けるのも良いでしょう。

Q. これだけで本当に効果があるの?

A. はい、あります。慢性的な腰痛の改善で最も大切なのは、強い刺激ではなく「正しい動きの習慣化」です。今回ご紹介した2つのポーズは、そのための最も安全で効果的な第一歩です。まずは2週間、ぜひ続けてみてください。腰が軽くなるだけでなく、自分の体への意識が変わるのを感じられるはずです。


まとめ:あなたの手で、体を癒す力を取り戻そう

今日の約束は3つです。

  1. あなたの腰痛の原因は骨盤の「歪み」ではなく「不安定さ」です。
  2. 目指すのは「矯正」ではなく、インナーマッスルによる「安定」です。
  3. まずは安全な「2つのポーズ」から始めてみましょう。

あなたの体は、あなた自身で優しくケアすることができます。もう、痛みを我慢し続ける必要はありません。

今夜、ベッドの上で、まずは「ガス抜きのポーズ」を3回、深呼吸するところから始めてみませんか?それが、あなたの体を変える大きな一歩になります。

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